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-第10回-Che cos'e`per te Natale(あなたにとってのクリスマスとは)?(2007/12/11)<バックナンバー>

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あるとき、動物たちが集って話していました。

La volpe chiese allo scoiattolo: “ Che cos’e` per te Natale? ”
Lo scoiattolo rispose: “ Per me e` un bell’albero con tante luci e tanti dolci da sgranocchiare appesi ai rami ”

キツネがリスに訊ねました。「あなたにとってのクリスマスってなぁに?」
リスは答えました。「ボクにとっては、灯りが沢山ついた素敵なツリーだな。枝にはお菓子がいっぱいぶら下がってて、それをカリカリ食べるんだ。」

キツネが続けて言いました。
「私にとってはもちろん良い匂いのするガチョウのローストだわ。おいしいガチョウのローストのないクリスマスなんて考えられない。」
熊が割り込んできました。「パネットーネ!ボクにとってのクリスマスは、大きくておいしい匂いのパネットーネだよ!」
カササギも加わりました。「輝く宝石とチカチカ光る飾り物だと思うわ!クリスマスってキラキラしたものよ!」

Anche il bue volle dire la sua: “ E` lo spumante che fa il Natale! Me ne scolerei anche un paio di bottiglie ”. L’asino prese la parola con foga: “ Bue, sei impazzito? E` il Bambino Gesu` la cosa piu` importante del Natale. Te lo sei dimenticato? ”

牛もお話しに参加したがりました。「クリスマスって言ったらスプマンテだよ!ボトル2本は飲み干しちゃうね。」
そのときロバが強い調子で言いました。「牛くん、キミ、頭がおかしくなっちゃったの?クリスマスでいちばん大切なのは幼子イエスじゃないか。それを忘れてしまったのかい?」

すっかり恥ずかしくなった牛は、大きな頭をシュンとうなだれて言いました。
“ Ma questo gli uomini lo sanno? ”

「でも人間達はそのことを知ってるのかなぁ?」

(イタリア語版テキストの全文は、こちらをどうぞ。)

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Salve amici! Come state? (サールヴェ アミーチ!コメ スターテ?)
皆さんこんにちは。いかがお過ごしですか? 今日もまた楽しくイタリア語をお勉強しましょう。

冒頭のテキストはブルーノ・フェレーロという児童文学作家のクリスマス短編集からです。
アニマータ・イタリア語講座の読者の方々はもうご存知だと思いますが、イタリア語でクリスマスはNatale(ナターレ)といい、「誕生の、出生に関する」という意味のラテン語natalisが語源です。
Nの頭文字は必ず大文字でなければならず、“natale”と小文字で表記されるときには、  
1.形容詞として「誕生の、出生の」  
2.名詞として「誕生日や創立記念日」  
3.名詞として「生まれ、出身、家柄」
という意味になります。

さて、この語源が示すように、ナターレは「Nativita` di Gesu` Cristo(救世主イエスの誕生)」を祝うもので、キリスト教の信仰の核である    
Dio si e` fatto come noi, per farci come Lui.
(神は、私たちを彼のようにするために、自らを私たちのようになされた。)      
【si e` fatto = farsi (「自らを・・・にする」という意味の再帰動詞)の3人称単数近過去形】
という神秘(il mistero)を想いつつ過ごすべき期間です。

しかしカトリック教の国であるとされるイタリアでも、冒頭の動物達のお話のように、『ミサ(la Santa Messa)にはとりあえず参加するものの、関心のメインはクリスマスの昼食のメニュー(il menu` del pranzo di Natale)とプレゼント交換(lo scambio dei regali)』という傾向が年々強まっているのを感じます。

デパートやショッピング・センターでも、宗教色の強いプレゼーピオ(i presepi)よりはアレンジが効きやすく商業化しやすいクリスマスツリー(gli alberi di Natale)の方が売り場の多くを占め、雑誌や広告のページには、聖家族(la Sacra Famiglia)や天使(gli angeli)よりもプレゼントの袋を抱えたサンタクロース(Babbo Natale)の姿が目につきます。
TVに流れる音楽も、伝統的なクリスマスの歌が、ジングルベルなど英語ベースの曲におされがちになってきました。

もちろん、普段は遠く離れて住んでいる家族や親戚が集って、おいしい物を食べながら旧交を温めあう食事会や、親愛の情のしるしとしてのプレゼント交換は、クリスマスという時期にふさわしい素敵な習慣です。でも、それらが一人歩きをしてしまい、信仰(la fede)、慈愛(la carita`)、献身(la devozione)、清貧(la poverta`)などの本来の精神から離れてしまっては、もう「クリスマスを祝う(festeggiare il Natale)」とは言えなくなるでしょう。

とはいえ、イタリアにもまだまだクリスマスの心はたくさん残されていて、それを子供達のためにも守り伝えようという努力も盛んです。 私が住んでいる小さな田舎町でも、毎年12月になると子供達が大人とともにミサや教会の奉仕活動に参加する機会が普段より多く設けられます。 なかでもpresepio vivente(プレゼーピオ ヴィヴェンテ:生きた人間がキリスト生誕場面の人物に扮したもの)の山車(carro)と一緒に、夕闇に包まれた通りをねり歩き、家々を訪ねてはお祝いや祈りの言葉を届けて廻る行事、カーロ・デッラ・ステッラ(il Carro della Stella)は、多くの子供達が心待ちにしています。
その際に歩きながら歌われるのが、“Tu scendi dalle stelle(あなたは星々から降りてくる)”という歌。これはイタリア・オリジナルのクリスマスソング(canto natalizio)で、18世紀のナポリ生まれの聖人、Alfonso Maria de' Liguori(アルフォンソ・マリア・デリグオーリ)によって作詞、作曲されました。
イタリアでは全国的に有名で、特に幼稚園や学校など子供達が集る場所でよく歌われます。 本当は7番まであるのですが、ここでは最もよく歌われる1番2番と6番をご紹介します。

Tu scendi dalle stelle

1. Tu scendi dalle stelle, o Re del cielo, e vieni in una grotta al freddo e al gelo.
あなたは星々から降りてくる。天の王よ。そして冷たく凍った洞窟にやって来る。

O Bambino mio divino, io ti vedo qui a tremar; o Dio beato! Ah, quanto ti costo` l'avermi amato!
私の聖なる幼子、あなたはここで震えている。至福に満ちた神よ! ああ、私を愛したために、どれだけの犠牲をあなたは払わなければならなかったのか!

2. A te, che sei del mondo il Creatore, mancano panni e fuoco, o mio Signore.
世界の創造者であるあなたなのに、衣服も暖かい火もありはしない。おお、私の主よ。

Caro eletto pargoletto, quanto questa poverta piu m'innamora, giacche` ti fece amor povero ancora.
愛しき選ばれたる幼子よ。あなたが愛のために自らを貧しくしたが故に、この貧しさは私のあなたへの愛をますます深いものにする。

6. Tu dormi, Gesu` mio, ma intanto il core non dorme, no ma veglia a tutte l’ore.
あなたは眠る。私のイエスよ。しかしその間にも心は決して眠らず、常に目覚め続けている。

Deh, mio bello e puro Agnello a che pensi? dimmi tu. O amore immenso, “un di` morir per te”, rispondi, “io penso”
私の美しく穢れなき子羊よ。お願いだから何を思うのか教えてほしい。 おお、広大なる愛よ。あなたはこう答える“ いつか汝のために死ぬことを私は思う”。

いかがですか?
子供向けの単純な歌かと思ったら、どうしてどうして、さすが聖人の作詞だけあって(正確には聖アルフォンソによって作詞されたナポリ方言での原文が、福者法王ピウス9世によってイタリア語に意訳されたもの)深い信仰に根ざした美しい詩でしょう。

どんなメロディなのか気になる方には、こちらのサイトへどうぞ。(サイトを開くと音楽が自動的に流れ出します。)
7番まで全部の歌詞も格調高い英訳つきで掲載されています。

クリスマスの時期をイタリア人と過ごす機会がある方は、神様を信じている人もそうでない人も、この歌を一緒に歌ってNATALEについて様々な思いを巡らされてはいかがでしょう。

ではでは、BUONE FESTE A TUTTI!!(皆さんがよい祝祭日シーズンを過ごされますように!!)