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<9/Ottobre(10月)/2003> a Matera vol.1 <2003年10月9日(木)>

またまた今朝も5時に目が覚める.....やっぱり時差ぼけ?歳のせい?
ペンショーネ ジュリアの朝食は、中央の広い部屋の長テーブルで、他の宿泊客と一緒にとるスタイル。コーヒーもポットに入ったのを自分で注いで飲むし、パンなどもかなりインスタント的なので、BARに行って食べた方がいいかもぉ(^O^)。ゴメンネ、おじいちゃん。

本日は、バジリカータ州は洞窟住居群、サッシで有名なマテーラへ出かけます。メインの荷物はホテルに置いたままで1泊分の着替えだけを持っての泊まりがけ。
マテーラへはバーリ・ノルド(バーリ北)駅から私鉄のF.A.L線に乗って、1時間半ほどで行ける距離。日帰りでも十分大丈夫なのですが、サッシという今までのイタリア旅行の過程で見たことのない異種独特な空間に、24時間身を置いてみたくなったのでした。

ノルド駅は、国鉄のバーリ中央駅に向かって右側の建物の中を通って行くのですが、最初は少し分かりにくいので尋ねもって行きましょう。また、本数も1時間に1本あるかないかなのでこちらも事前に要チェック。
電車は、外は落書きだらけで中も座席が破れだらけのとってもババチイ状態。私鉄なのに不思議。

途中、4両から2両になって車両を乗り換えたり、列車ごと乗り換えたりと、ちとややこしいので、怪しかったらその都度「ヴァ ア マテーラ(マテーラに行きますか)?」と大声で叫ぶべし。


9時35分マテーラ駅到着。地上へ上がり、駅を背にして左手のVia Roma(ローマ通り)を道なりに下っていきます。駅前は至って普通の町。サッシのサの気配もないまま、2本目を左に入るとツーリストインフォメーションがあり、そこで地図などがもらえます。ただ、その地図はかなり使えません(笑)。
更にローマ通りを直進すると、間もなく広くて美しい広場、ヴィットリオ・ヴェネト広場に出ます。比較的新しい建物や教会が建ち並び、噴水なんかもあって優雅なイメージ。果てさて、サッシはいずこに....?
と思いきや、広場の中央あたりの一角にちょっとした展望台風のスペースがあって、そこから一気に世界が変わる!
おおおぉぉぉっ、これがかの岩窟住居たちだぁー...としばし呆然。
なんて不思議な空間だろう。無秩序で荒涼としていて投げやりで、でも何だか達観していて温かみすら感じる....お天気にもすごく左右されるんだろうけど、とにかく表現しがたいご対面の瞬間でした。
まずは、今夜宿泊するホテル サッシへ。さきほどの広場の中程からサッシ地区に入り込み、HOTEL SAASI→と書かれた案内通りに迷路のような道を進むと、小さなかわいい門が。サッシを利用して作られたホテルというのでもっと穴蔵みたいかと思いきや(んなことないかっ)、とってもモダンな雰囲気。エントランスとフロントもこの通り、ヴォールト天井を利用してロフト風にしているのもブォナ イデア(グッド アイデア)!

部屋に入って思わず歓声をあげてしまいました。窓からサッシ群が一望できて、ドゥオーモが真正面に見上げる位置に!ベランダに立つと、まるで数千年前にタイムスリップして、上空から見下ろしているかのよう....この貴重な景色、しっかり目に焼き付けないと....。部屋は、ちっちゃいけど清潔でかわいい。アルテミデのモダンな照明もよく似合います。
 SASSI HOTEL
  Via San Giovanni Vecchio 89
  http://www.hotelsassi.it/index.htm
  hotelsassi@virgilio.its
1泊朝食込みで52ユーロ(約6,700円)。
ドライヤー、ミニバーもあり。なぜかミニ扇風機もありました。

▲まずはさておきドゥオーモ参拝。目の前に大きく見えているので、それを目指していくのだけど、道は迷路のようで階段を上がったり下がったり....標識もないので人に聞きまくりました。ちょうどサッシ地区を見渡す高台に、町を見下ろすようにして建っているひときわ存在感を放っているドゥオーモ。ファサードは比較的簡素ですが、中に入ってその艶やかさにまたしばし呆然。金をふんだんに使った素晴らしい装飾に圧倒されます。岩だらけのサッシ地区の中にあるドゥオーモが、こんなに美しいなんて.....いや、だからこそかも知れないなぁ...

ドゥオーモの前の広場から、サッソ地区の北側・サッソ・バリサーノ地区を望みます。とにかく不思議な光景.....。
このドゥオーモをはさんで、サッシ地区は、バリサーノ地区と、南側のカヴェオーソ地区に分かれています。カヴェオーソ地区の方が、これから訪れる岩窟教会が点在していて、見所は多し。
▲そもそもサッシとは、”岩石”という意味のsasso(サッソ)の複数形で、岩を彫り抜いて作られた住居の集落をこう呼んでいます。歴史は紀元前までもさかのぼり、気の遠くなるような時間を経て、町の繁栄と共に貧富の差が住み分けを生み出し、整備されないままやがて無人化して廃墟となります。近年歴史的遺産として見直されて住民が戻り徐々に復興し、93年に世界遺産に登録されました。ガイドブックや各旅行記などを読んでも、10年以上前のものだと、陰鬱、恐怖感など暗いイメージの言葉ばかりが目に付きます。今目の前にあるこの岩の町のイメージは、決して暗くはなく、生活の息吹も強く感じます。ほんの10数年でこれだけよみがえったということなんでしょうね.... ただ、全ての家に人が住んでいるわけではもちろんなく、むしろほとんどは空洞のままで、黒い扉の穴がぽっかり空いて誰かがこちらをのぞき見ているようです。この黒い穴を全体で見ると、まるで蜂の巣みたい.....夜や雨の日は確かに怖いかも。

▲「観光用ルート」と書いた標識があるにはあります。でも、そんなに意味をなしていないような....(苦笑)。
右写真は、いびつな岩山をくりぬいて作られた岩窟教会の1つ、サンタ・マリア・イドリス教会。この十字架は方向の目安になってくれました。

▲カヴェオーソ地区の最も低いところに建っているサン・ピエトロ・カヴェオーソ教会。右写真を見ると分かりますが、断崖の際々に、渓谷を見下ろすように建てられています。こわっ。ただ、土日しか、つまり週末のミサ用にしか開けられないとのことで、中には入れず...。 ここで、「こんにちは」と女性に日本語で声をかけられました。イタリア人ガイドの営業さんでした。とってもスペシャルなガイドをしますよ、と言ってくれたけれど、ゆっくり見たいので....と丁重にお断りしました。料金は分からないですが、試してみてもおもしろかったかも。

カヴェオーソ教会の近くに、カーサ・グロッタ(グロッタの家)があります。1700年代初期に作られた典型的な洞窟住居の1つで、50年前まで実際に農民が住んでいたそうです。当時の家具や道具はそのまま残されているので、かなりリアルに当時の生活をうかがうことができます。入場料は1.5ユーロ。
▲床からかなり高い位置にあるベッド。湿気を防ぐためと、ベッドの下に藁などを置くためだとか。ベッドの横にはテラコッタ製のトイレというか尿びんがありました。
中央は、家でたった1つの換気口となる窓。ヴォールト天井が高々としていて、狭いわりには圧迫感は少ない。
右写真は、嫁入りダンスが2つ。タンスは引き出しを出して藁を敷いて、子どものベッドにも使用したそうな。生活の知恵だ。ちっちゃいテーブルは食事用。しかもこれを平均子ども数6人の大家族で使っていたと言うからびっくり....

▲パン粉や小麦などを保管していたタンス。これも夜には子ども用ベッドに。この家族用の大部屋の向こうには、家畜の飼育用部屋も同じ屋根の下にあります。当時の生活になくてはならない家畜たちは大事な家族の一員。
中央は井戸。床下に用水路があって、その水をここから汲み上げていたそうです。
右写真は、入口のすぐ脇にある台所。当時の道具もそのままに。
なぜ、こんなに詳しく書けたかと言うと、実は、入口を入ってすぐ流れるガイドのテープが日本語だったのです!!これには驚き。イタリアに来て初めてです。それだけ日本人観光客が多く訪れているということでしょうか。とても謎。
私1人しかいないことをいいことに、2回もテープを流してもらいました。わはは。

先ほど遠目に見えていた岩窟教会、イドリス教会を目指す途中に、石で作った雑貨土産を売っている小さな洞窟お店があります。ここの店主、ヴォティーチョさん、通称ヴィートとは、後でとんだ展開になりました!(Vol2にて)
イドリス教会の内部は、無造作に彫られたままの壁にいくつかのフレスコ画が残されています。中世時代にイスラム教徒の迫害を受けたトルコの僧たちが作ったらしいこの教会。かなり切実な気迫が伝わってきそう。
サッシ地区の維持・保存のため、このイドリス教会をはじめ5つの教会に入るためには拝観共通券を買う必要があります(他にもたくさんの教会があるのですが、観光用にはOPENしてません)。2教会で2.1ユーロ、4教会で4.2ユーロ、全教会で5.2ユーロ。貧乏性で欲張りの私は、全教会用を購入。しかーし、とてもとてもまわり切れません。1つ1つ離れてるし、迷うし、暑いし(この日はほんと暑かった)で、2教会用で十分だと思います。拝観時間は共通で9:30〜13:30、14:30〜19:00。あ、ここでもらえる地図、ペラ1枚なのですがツーリストインフォメーションでもらったものより使えました。
ようやく着いた2個目の教会、サンタ・ルチア・アッレ・マルヴェ教会。ほとんど朽ち落ちた壁にマドンナとキリストのフレスコ画がわずかに残り、横には小さな礼拝堂があるだけのほんとに小さな教会です。少々かび臭い。このお隣にはおしゃれなカフェがあって、小休止にもってこい。モダンなインテリアもよく似合う素敵な空間でした。