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マーサの幸せレシピ (2003/06/25)

  美味しいお料理で誰かを幸せにすることができる映画だろう。。と誰でも思うくらいの気持ちで観たら、いえいえそれもあるけど、もっといろんなエッセンスが詰まった、とってもハートフルな素敵な素敵な映画でした。
ドイツ映画は初めてですが、描かれる人間たちの気質や大事にしたいものなどがちょっと日本人的でもあり、とても身近に感じます。
DVD買おうかな〜

ドイツにあるおしゃれなフランス料理店で女性シェフとして働く、仕事一筋のマーサは、”絶対味覚”と一流の腕前を持ちながらも、オーナーからは「町で2番目のシェフ」と言われます。必要以上の他人との関わりを避け、なぜか食べることには全く関心もない、孤独にさえ見える彼女に大きな転機がやってきます。事故で亡くなった姉の8歳の娘、リナを引き取ることに。ショックで何も食べようとしないリナ。不慣れな子育てに戸惑いながら、何とかリナの笑顔を取り戻そうとする毎日。そんな2人は、レストランに新しく入ったイタリア人シェフ、マリオの、人生を楽しもうとする明るさと細やかな心遣いに癒されていき、リナも心を開きかけていくのですが.....
今までマーサが見ようもしなかった風景や愛情に気付いたとき、彼女は人生における”幸せのレシピ”を手に入れるはず.......
ざっとこのようなストーリーですが、何と言ってもマーサ役のマルティナ・グデッグがきれい!! 知的で整っていて、でも脆さと弱さと誇り高さが少しずつのアンバランスさで顔を出す、女性的な知的美人だと思います。
そして、典型的イタリア人として描かれているマリオ。いい味出してます。ただの陽気な脳天気ではありません。弱さも強さも包み込んでくれるような温かさにきゅんとします。マリオ役のセルジョ・カステリットはドイツ語を喋れないため、声の似ているドイツ人が吹き替えをしているそうなんですが、そのドイツ語もイタリア語に聞こえそうなくらい、イタリアのイメージにふさわしい役所です。それにしても、マーサの廻りの男達はみんないい男なんです。ルックスではありません。色気でもありません。マーサの部屋の階下に越してきた建築家のサムにしても、マーサがセラピーを受けてるセラピストの先生も(ちょっとなよっとしてるけど)、みんな大人。温かくて落ち着いていてやさしい。

食べることは、飽食な日本に生まれたおかげで、生きるためだけでなく楽しむという一面も私達は味わえます。
好きな人と好きなモノを食べる幸せ。大切な人に自分の作ったものを食べてもらう幸せ....どんなに美味しそうなお料理が目の前にあっても、その時の精神状態や状況によって、それはただの物体でしかなくなることもある。リナが何も口にしなくなって最初に食べたのが、マリオのまかないのスパゲッティ。美味しそうに幸せそうに食べる彼を横目で見て、途中で彼が仕事に立つ際「全部食うなよ」と手渡されて思わず全部平らげる.... 素敵なシーンです。

レストランの広々とした清潔そうな厨房の、いくつものコンロに何種類もの鍋でメニューを同時に作るシーンも圧巻です。どれもとても鮮やかで美味しそう。
今私は週に一度、知人が経営するイタリアンレストランでホールのバイトをしているのですが、そばでシェフたちの姿を見ていて、お客様に、「食べる」という最も基本のところで更に幸せな気持ちを与えるという仕事は、本当に大変だけど素晴らしいなっていつも思います。マーサは、テクニック自体は一流だけど、セラピーで料理のうんちくをひたすら語るほど仕事にも執着しているけれど、心の壁がいっぱいでした。お客様に食べていただくという感覚もない。料理にクレームをつけるお客様に「煙草を吸いすぎて味が分からなくなってるのよ!」ってのたまう姿、ある意味すごいです。

でも、そんな仕事よりもプライドよりも大事なものに気付きました。
そのあとのエンディングもとてもしゃれています。
美しさの上に更に堂々としたたくましさが加わったマーサ。今度は町で1番のシェフになるに違いありません。