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-第14回- LA PACE (平和) (2008/9/22) <バックナンバー>

Salve amici! Come state? (サールヴェ アミーチ!コメ スターテ?)
皆さんこんにちは。いかがお過ごしですか?

この夏は、中国のチベット弾圧問題、ロシアとグルジアの衝突、中東やアジア各国の内紛の悪化、北京オリンピック開催、南米諸国とアメリカ合衆国の緊張などなど、例年よりも平和について考えさせられる機会が特に多いものとなりました。

平和はイタリア語で『pace(パーチェ)』といいます。女性名詞です。 語源はラテン語のpax。 今までご紹介した言葉と違って、日本語の『平和』とそれほど意味も用法も変わりません。

“戦争や争いごとがない状態”を表す
・ Quei due popoli sono ormai in pace. あの2つの民族の間は既に平和だ。
・ Guerra e pace 戦争と平和(トルストイの小説の題名)

“和平”“講和条約”を表す
・ La pace e` stata finalmente firmata. ついに講和条約が調印された。
・ le condizioni di pace和平の条件

“人間関係において争いがない状態”を表す
・ Nella famiglia di Luigi da tempo regna la pace. ルイジの家庭ではもう長い間なごやかな雰囲気が支配している。

“静けさ”“のどかさ”を表す
・ Mi piace godermi la pace della natura. 私は自然の静寂を楽しむことが好きです。

“心の安らぎ”“落ち着き”を表す
・ Da quando e` arrivata la Nadia, non riesco piu` a trovare la pace. ナディアが来てからというもの、僕には心落ち着く時がなくなった。

“諦めの心境”を表す
・ Per il lavoro Mario si e` messo l’animo in pace. マリオは仕事に関しては諦めの境地に入った。

paceの慣用表現としてよく使われるのは
fare pace con ○○ =○○と仲直りする
lasciare ○○ in pace = ○○をそっとしておく
Lasciami in pace! = ほっといてくれ!
essere in pace con se` stesso = 心穏やかな状態になる
darsi pace = 諦める
Pace e bene! = 平和と善が有らんことを!(カトリック・フランシスコ会の挨拶の言葉) などなど。

また、paceの派生語には
pacifico = 平和な、温厚な、穏やかな
pacificare = (争いごとを)おさめる
pacifismo = 平和主義
pacifista = 平和主義者
paciere = 仲裁人
pacioso = 物静かな、温厚な などがあります。 

ところで、paceという言葉について考える時、いつも私の頭の中にはアンドレアが2、3年前に学校で習った「LA SOLIDARIETA`」という詩が思い浮かびます。

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LA SOLIDARIETA`

Il tuo cuore batte come il mio
si` come il mio, si` come il mio!
I tuoi occhi guardano nel sole:
la stessa luce, la stessa vita.

君のハートは僕のと同じように鼓動している。
そう、僕のと同じように、僕のと同じように!
君の瞳は太陽の中に見る:
同じ光を、同じ生命を。

みんな一緒に歩いてる
この世界を、この生命の世界を
誰もがお互いを恐れることなく
冒険に立ち向かっている。

Cio` che unisce e` certo piu` importante
caro fratello e` piu` importante!
Se tra noi qualcosa e` differente
Sara` piu` vario, sara` arricchente!

結びつけるものの方がより大切なんだ
僕の兄弟よ、より大切なんだ!
もしも僕たちの間で異なっていることがあったら
それはよりバラエティに富むため、豊かになるため!

君たちもかわいく、愛らしい子供たちの
母親であり、父親だ。
彼らは僕の子供に手を差し伸べる:
そして一緒に暖かい世界を築いてゆくだろう。

Il tuo canto sara` il canto mio
il ritmo tuo, il ritmo mio!
Il tuo pianto e il tuo dolore:
lacrime ardenti nel mio cuore!

君の歌は僕の歌となり、
君のリズムは僕のリズムとなる!
君の嘆き、君の苦しみ:
僕の心の中で熱い涙となる。

僕たちの未来が希望であるように:
そうすれば人生はダンスになる
なぜなら君の名前は僕の名前と同じだから
君は『人間』、僕もそうさ!

(イタリア語版テキストの全文は、 こちらをどうぞ。)
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この歌のタイトルであるLA SOLIDARIETA`(ラ ソリダリエタ)という言葉、イタリアでは頻繁に使用されるのですが、日本語にぴったりと当てはまる言葉が浮かんできません。 ボランティア活動でも、賃上げ要求のデモ行進でも、貧しい人々への慈善活動でも、知り合いに不幸なことがあったときにも出てきます。

辞書を引くと「 団結、連帯感、互助、共感、共鳴」 とありますが、どれもピンときません。それらを全部ひっくるめて更に「 人情、友愛、人類愛」をプラスした感じ、と言えばわかっていただけるでしょうか。 もともとはラテン語のsolidus(=完全無欠な)が語源なので、「 自分を大きな全体の一部とみなして、お互いに助け合う気持ち、行為」とも解釈できます。

上記の詩の中にあるように、「国籍や文化や信条がちがっても、 君も僕も大きな家族としてつながっている。君の喜びは僕の喜び、君の悲しみは僕の悲しみだよ。だから一緒に歩いてゆこうよ。」という思い。

世界レベルで政治や経済が不安定で、残念ながら地球上のどの国に住んでいても明るく希望のある未来を思い描くことが難しい現代です。
でも、全ての人々が今よりもほんの少しでも多くsolidarietaを実践して生きてゆくことができたら、この世の中もかなり住みやすいものになって、真のpaceに一歩も二歩も近づけるのではないかな、と思います。

ではでは、Alla prossima!!(また次回お会いしましょう!!)