旅日記(オススメレストランやホテル情報もあり) 今月のお土産プレゼント 店主のつぶやきBlog 店主のひとりごと イタリア語のお勉強中の方へ ミラノ情報・2003年〜2005年 美味しいレシピ満載です! リンク集 フィレンツェのホームステイをご紹介しています お買い物代行承ります 翻訳サービスはじめました 直接商品をご覧いただけます
 
HOME > イタリア語講座
 
 
-第1回-文字の読み書き (2006/04/04)   <バックナンバー>

はじめに
こんにちは。 北イタリアはヴィチェンツァの郊外に住んでるMARIです。以前からヴィチェンツァ発雑貨の紹介をさせていただいていたんですが、今月からは恐れ多くもイタリア語講座のコーナーも担当することになりました。どうぞよろしくお願い致します。
さて、お引き受けしたのはいいものの、講座のテーマをどうしよう・・・ と悩んでいた時、ふとキッチンのテーブルの上に息子のアンドレアの教科書とノートが開いたままになっているのが目に入りました。もー、また宿題やりかけでほったらかしにしてー、と、片付けようとしてひらめきました。
「新コーナーは、イタリアの小学校の教科書に沿った内容にしたらどうだろう?」
アンドレアはただいま9歳。小学校3年生です。 読み書きに慣れることを主な目標としていた1、2年生の頃と違って、3年生になると文法専門の授業も本格的に始まり、扱うテキストも大人が読んでも興味深いものが増えてきます。 宿題を手伝ってるはずが、ついつい面白くてアンドレア本人よりも私のほうがテキストを読み込んでしまう、なんてこともしばしばです。 文法レベル的にもイタリア語初級段階を終わった方なら、わりとすんなり頭に入るんじゃないでしょうか。 さっそくyoriさんに相談したところ「面白そう」ということで、今回、めでたく新コーナー出発の運びとなりました。 童心に返って小学生気分でイタリア語のお勉強を楽んでいただければうれしいです。

文字の読み書き
「初級段階を終わった方むけ」とか言っておきながら、いきなり初級以前なテーマですみません。でも今回はウォーミングアップということで、子供達がどのようにして読み書きを習っていくかについてお話ししたいと思います。 (注:イタリアの学校では、授業内容や方法について各教師の決定権が大きいので、教師、学校、地域によってかなりの違いがあります。このコーナーでご紹介するのは、アンドレアが通っているヴィチェンツァ県ヴィッラヴェルラの小学校の授業内容です。)

1.スタート 小学校1年生の一番はじめのイタリア語の授業は「自分の名前と住んでいるコムーネの名前、それと日付を書くこと」がいちばんの目標です。5mmサイズのマス目のノートを使って、ブロック体の大文字でくりかえし氏名とコムーネ名を書き続けます。 ただ、それだけでは飽きちゃうので、先生が用意したイラストに色を塗ったり、お絵かきしたり、運筆の練習になるような幾何学模様を描いたりもします。イタリアでは新学年が始まるのは9月半ばからなのですが、アンドレアが1年生の時には9月いっぱいは上記の作業に集中していました。
余談ですが、この「氏名」「地名」「日付」は2年生の最後の授業まで、イタリア語のノートのその日のページの一番上に毎回書くことになっていました。この3つは手紙、特に商用レターでは必要不可欠の基本事項ですよね。学校教育が始まった初日からこの3つを書くことを習慣づけるというのはとても大切なことだと思います。(3年生になった今では氏名は省かれて、地名と日付だけになりました)

2.母音を覚えよう 9月も終わりになってノートのマス目の使い方にも慣れてきたら、本格的にアルファベットの読み書きのお勉強の始まりです。 まずは母音から。イタリア語の母音は日本と同じA、E、I、O、Uの5つですが、これをイラストや簡単な文章などを交えながらまずは大文字で、そのあと小文字で読み書きできるようになることが目標です。 ここでアンドレアのノートから『Filastrocca delle Vocali(母音の詩)』をご紹介します。
                      FILASTROCCA DELLE VOCALI
                       LE VOCALI SONO A,E,I,O,U,
                         CHE SEGNI STRANI:
                        LA A CON DUE GAMBE,
                        LA E CON TRE BRACCIA,
                        LA O TONDA IN FACCIA,
                  PIU’ CURIOSA E’ LA U CHE GUARDA IN SU’
                   MA PIU’ CARINO E’ LA I CON IL PUNTINO.

各単語の意味はvocabolario(単語集)をご覧ください。

3.子音と音節 5つの母音がちゃんと読み書きできるようになる頃、子音が導入されます。 このときに注目すべきなのは、母音とペアで音節として覚える(例.PA、PE、PI、PO、PU)ようにすることと、子音単独で覚える場合は、そのアルファベットの名前ではなく、発音で覚えるようにすること(Pの場合、「ぴー」ではなく「ぷ」の破裂音だけとして覚える)です。 この方法だと、たとえば「TOPO(ねずみ)」という単語を読むとき、すんなりと「とぽ」という発音が出てきます。反対にアルファベットの名前を先に覚えてしまうと「てぃーおーぴーおー」になってしまいますね。
子音を覚える順番ですが、P、T、L、Mなどどんな場合にも発音に変化のないものから始まり、その後でC、G、CH、GH、SCと進んでゆきます。 この時期から授業でも宿題でもノートに書く量がグーンと増えて、Alfabetiere(アルファベット表)にはとってもお世話になりました。
アンドレアが散々お世話になったので、かなりヨレヨレのアルファベット表。

4.聞こえないけど大切な文字、記号 ひととおりアルファベットが書けるようになったら、最後はtt、ll、ppなどの二重子音、ho、hai、hannoなどのavere動詞、アポストロフィ、アクセントそれに句読点の勉強です。 avere動詞のHの書き忘れがイタリア全国レベルでの子供達の悩みの種であることに加えて、ヴィチェンツァのあるヴェネト州の子供達には二重子音も頭がいたい問題です。 ヴェネト方言では二重子音がないために、普段イタリア語を話す時にも大人でもあまり二重子音を発音しません。たとえば、イタリア語のgatto(猫)はgatoに近い発音になっちゃうのです。 なので、子供達も二重子音が聞き取りにくいのか、かなり大きくなってもスペリング間違いが多いみたいです。

5.筆記体登場 さて、上記の4のレベルまで習得する頃には、時期的には既に1年生の5月半ばか終わりぐらいになります。イタリアの学校の夏休みは6月第2週くらいから始まるので、もう学年度も終わりです。 次の段階としては、筆記体が導入されるのですが、アンドレアの先生はこれを夏休みの宿題にして、2年生の新学期からは筆記体が習得できている状態にしていました。 これで、外来語にしか使わないj、k、w、x、yの文字以外は、最初の1年間で全て読み書きができるようになったことになります。 ご存知のように、イタリアで、と言うかヨーロッパで使われている筆記体は私達が日本で習ったものとはかなり違います。イタリア在住暦が10年になろうとしている私でも、今でも筆記体で書かれた手紙やカードが「よ、読めない...(泣)」ということはしばしば。 ここでご参考までに、アンドレアが学校に持っていってるブロック体と筆記体のアルファベットカードの画像を載せておきますね。


では上の表を参考に、以下の文章を読んでみてください。


いかがでしたか?これはアンドレアが小学3年生になったイタリア語の最初の授業に使われたテキストで、教科書(題名:LEO E LA MATITA=レオとエンピツ)の案内役であるレオ君が、お友達のララちゃんに宛てた手紙、ということになっています。(ブロック体表記と訳文はこちら
ではでは、次回からはこの教科書に沿ってイタリア語講座を進めていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!